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野球肘の原因の可能性:肘だけじゃない、全身の使い方を見直そう

野球肘の原因は肘の使い方だけではありません。下半身や体幹、柔軟性など全身の使い方が影響します。予防と改善に役立つ情報を詳しく解説します。



■ 野球肘とは?

「野球肘」は、繰り返される投球動作によって肘関節に過剰な負荷がかかり、成長軟骨や靱帯などに損傷が起きる障害の総称です。特に成長期の小・中学生に多く見られ、放置すると将来的に投球障害につながることもあります。

■ 原因①:肘だけに注目するのは不十分

野球肘の痛みがあると、つい「肘の使い方が悪い」と結論づけてしまいがちです。しかし実際には、肘は“被害者”であり、“原因”は他の部位にあることも少なくありません。体全体のバランスや連動性が悪ければ、投球動作が不自然になり、結果的に肘に過剰な負担がかかるのです。

■ 原因②:下半身の使い方が悪いと、上半身が無理をする

投球は「地面反力 → 下半身 → 体幹 → 上肢」と力を伝える運動連鎖(キネティックチェーン)です。下半身の動きが悪いと、エネルギーの出力が小さくなり、上半身が代償的に働いて肘や肩に無理な力がかかります。

  • 軸足でしっかりと踏ん張れない
  • 股関節の回旋がスムーズにできない
  • ステップ足が前に出ない・ブレる

■ 原因③:体幹・肩甲骨の柔軟性不足

投球時の体幹の安定性や肩甲骨の柔軟性は、腕を自然に振るために不可欠です。これらが硬いと、腕を無理に振る形になり、肘や肩への負担が増加します。特に肩甲骨は肘への衝撃を逃がす“クッション”の役割を担っているため、重要です。

■ 原因④:投球フォームの乱れ・再現性の低さ

毎回フォームが違う、ボールのリリースポイントが不安定、グラブ側の腕がしっかり使えていないなど、フォームの再現性が低いと、筋肉の負担が偏ってケガをしやすくなります。正しいフォームを身につけることが肘の予防にもつながります。

■ 原因⑤:柔軟性の不足(特に成長期)

成長期は急激に骨が伸びるため、筋肉や腱の柔軟性が追いつかず、動きがぎこちなくなります。これにより、無理な投げ方となって肘にダメージが蓄積されます。

  • ハムストリングスが硬い → 下半身の粘りがなくなる
  • 股関節が硬い → 回転動作が小さくなる
  • 肩関節が硬い → 無理な角度でボールを離す

■ 原因⑥:疲労の蓄積とオーバーユース

投げすぎによる疲労の蓄積も大きなリスクです。特に連日の練習や試合が続くと、フォームが崩れやすくなり、無理な動きで肘に負荷が集中します。球数制限や適切な休養が不可欠です。



■ まとめ:肘は“結果”、原因は別の場所にあるかも

野球肘は“肘の使い方の問題”と捉えがちですが、実はその背景には**体全体の使い方やバランスの悪さ、柔軟性の不足**など、様々な要因が隠れています。
肘ばかりを見るのではなく、全身の連動性を高めるトレーニングや、定期的な柔軟性チェックを取り入れることで、予防と改善につなげていきましょう。



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